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262630昼休み[air]
[背景:教室]
永二
「よし一矢、飯食いにいこうぜ」
昼のチャイムと同時に永二が俺の机の前にやってくる。
一矢
「元気だな、お前」
永二
「そりゃあ誰かさんと違って、朝階段から落ちたりはしないからね!」
あれは事故だ。
俺は重い腰を上げる。
ずきっ……。
くそ、まだ体が痛い……。
永二
「肩かそうか?」
一矢
「いらねえ」
永二
「そっか、なら早くいこうぜ 席取られちまう」
一矢
「席は七心がいつも取ってるだろ」
俺たちが食堂にいくと、すでに七心はいつも同じところの席を俺たちのぶん取ってくれている。
だから授業の終了が遅くなっても俺たちはしっかり席で飯を食えるのだ。
多少迷惑行為なため、あまりに混んでる時は席を譲っている。
俺らも急ぐに越したことはない。
永二
「なら七心ちゃん待たす前に行こうぜ」
一矢
「まあ、それもそうだな」
俺たちは教室から出る。
ジョセ
「あ、待ってくださいですヨ〜」
教室からジョセが追いつく。
ジョセも3年になってから俺たちのグループに入ってくるようになった。
まあほとんどは七心としゃべってるんだが。
一矢
「今日も弁当か」
ジョセ
「そうですヨ〜。食堂とは違って健康管理もできますからネ」
えっへんと胸を張る。
健康とかはどうでもいい。
一矢
「俺のこの体を見たら、どっからどうみても健康だからな」
ジョセ
「あちこち打撲の痕がありますネ」
…………それとこれとはちがうんだ。
[背景:階段]
階段までくると階段を下りようとする一人の男を見つける。
永二
「翔〜」
永二がその男のところまでいき肩に手を置く。

「ん?」
こいつは殖木 翔[ルビ:ふえき しょう]俺の男友達だ。
まさに生きる侍という風格を周囲に見せている。
まぁ腰の刀は千歳飴なんだがな。

「おお、先にいっとるのかと思った」
ジョセ
「今からいくところですヨ」

「そうか」
軽い言葉を交わして俺たちは食堂へ向かう。
[背景:食堂]
1階の玄関の先の少し開いたホール。そこが俺たちの学校の食堂といっている場所だ。
だから俺たちはいつも生徒用下駄箱を尻目に飯を食っているのだ。
何故そんなところに食堂があるのかは俺も知らない。
食堂の部屋を作る予算が無かったのか。
後から食堂を開くことが決まって、このホールを食堂の場所にしたのか。
まあそれはわからないが、1階の玄関前のホールが食堂なのである。
俺と永二と翔は学食のため、ジョセといったん分かれこの列に並ぶ。
永二
「今日はなににする?」

「某はかれーらいすを食そうかと思っておる」
一矢
「へぇ、お前いつもうどんやそばじゃないか、珍しいな」

「たまにはな」
俺はなににしようか。
カレーライスも良いし、うどんもここはつゆがおいしい。
しかしここは、カツ丼でもいってみるか。
券売機でカツ丼の券を購入する。
一矢
「永二はなんだ?」
永二
「俺も今日はカレーライス」
ま、定番だよな。
おばちゃん
「はいよ、カツ丼お待ち」
食堂のおばちゃんがカツ丼を俺が持っているトレイの上に置く。
永二と翔もカレーをもっていつもの席へと向かう。
すでに七心がいつものところの席を5人分とっていた。
ジョセもいつもの定位置に座っている。
俺たちもいつもの席に座る。

[イベントCG:一矢、七心、ジョセ、永二、翔の5人で食堂で食事]
七心
「あ、一矢君……」
一矢
「ん? なんだ?」
カツ丼をひとくち口に入れてから七心に顔を向ける。
七心
「えっと、今朝はごめんね?」
七心が俺に謝っていた。
一矢
「いいよ、俺の寝顔にキスしようとしていたことくらい」
ブフーッ!!
永二がカレーを噴く。
一矢
「うわっ、きたねえなお前!」
永二
「ななななぬになねぬなのな…………」
どこの呪文だ。
永二
「七心ちゃんとキスだって!!?」
ジョセ
「七心と一矢がまうすとぅーまうす!?」
ジョセも驚く。
翔はまったく動ぜずカレーを食べている。
七心
「ううううそだよ!? してないよ!」
七心が全力で否定する。
七心
「ね、一矢君! 冗談だって言ってよ!」
…………。
……ぱくっ。
一矢
「うお、このカツ丼めちゃくちゃうめえ!!」
七心
「聞いてないフリしないで〜!!」
さわがしいグループだった。

ジョセ
「はぁ……ま〜た一矢のじょーくでしたカ……」
俺が折れて冗談だと皆にばらす。

「ま、某はそうじゃないかとおもってたけどな」
七心
「ふぇ? ど、どうして?」

「本当に口づけをしたのなら、こんなに七心殿や一矢殿が平然なわけがない」

「もっとそわそわしているはずだからな」
一矢
「ほぉ〜?」
翔の観察力はすごかった。
永二
「ったく。こいつの話は、たまぁに本当のことしゃべってることがあるからなぁ……」
永二がカレーをまた食べ出す。
一矢
「あ、ここのカレーって実は業務用のレトルトだぜ?」
永二
「知ってるよ! わざとらしく本当のこと言わなくていいよ!!」
一矢
「ついでにお前は人間ではない」
永二
「人間だよ! ヒューマンだよ!! ホモ・サピエンスだよ!!!」
一矢
「え? ホモなの?」
永二
「違うよ!!!」
どっちだよ。

七心
「そういえばつくしちゃんがね」
と、俺たちが言い合ってる間に七心が入ってくる。
七心は昼休みの時、時折自分のクラスメートである古谷つくしの話をする。
古谷 つくし[ルビ:ふるや]。
この学校で一番学力のある人物だ。
こいつが毎回学校のテストで1位を取るため、永二は高校に入ってから1回も1位を取ったことがない。
俺はそいつと話したことがない。
ていうか、学校一の秀才が俺なんかと話すわけがない。
七心
「それでね、今度囲碁部で大会に参加するんだ! って張り切っててね」
へぇ、囲碁ねぇ……。
よくそんなことをする時間なんかあるもんだなぁ。
ま、関係ないが。
それにしても、この学校に囲碁部室なんてあっただろうか。
たしか多目的室は手芸部が、視聴覚室は主に映像部が使っていたはずだ。
となると、教室とかか?
一矢
「七心、囲碁部って教室でやってるのか?」
他愛ない質問を七心にする。
七心
「え? いやちがうよ。科学室でやってるの」
……なんでそんなまったく関係のないところで。
七心
「どうしたの? 一矢君、囲碁に興味持った?」
一矢
「いや、聞いただけだ」
ま、俺には関係のない話だ。
顔を見るだけなら七心のクラスに行けばいいしな。