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172150放課後、教室にて[air]
[背景:教室]
[BGM:ほのぼのした日常]
ホームルームの時間に通知表やいろいろプリントをわたされる。
通知表はぱらぱらと読む。
プリントはそのまま鞄に突っ込む。あとで食卓に置いとけばいいだろ。
担任
「それと、休み中の怪我は十分気をつけるように 以上、号令」
委員長
「起立、礼」

やっとホームルームが終わる。
あまりいい数字は入ってない通知表をかえされたり、夏休みのこころえという紙を渡されたりとなんともひまな時間だったが、やっとおわった。
帰ったら商店街の本屋へ立ち読みでもしに行くか。
あそこの本屋は雑誌に梱包をしてないから立ち読みの宝庫なんだよな……。
あ〜、でもその前に飯食わないとな……なにか家にあったかな…………。

[BGM:祈]
[キャラクタCG:祈]
春風
「いっちー先輩! いっちー先輩!」

帰ろうと机の横にぶら下げてあったかばんをもって席を立とうとすると、春風がやってくる。
俺の机の前に立って両手を机の上に置く。

春風
「いっちー先輩、みんなを集めてくれない?」
一矢
「また今度な、じゃ」
席を立って教室の後ろのドアから教室を出ようとする。
春風
「にゅん!!? ちょ!! いっちー先輩!! 待ってよ〜!!」
春風が俺の腰に手を回して離れない。

春風の手を離そうとするが、春風はしっかり俺の腰を掴んでいる。
こんな小さな体からどうやってこんな力が出るのだろう。
一矢
「なんだよ、俺は今から夏休みをエンジョイするんだよ」
春風
「そういわずに〜……大好きな大好きな後輩がこんなに頼んでるんですよ〜」
一矢
「俺好きな奴とか別にいねえし」
春風
「にゅ〜ん……せんぱぁい……」

[キャラクタCG:永二]
永二
「おい一矢、お前こんなところで祈ちゃんとなにしてるの?」
春風の声を聞き取って永二がやってくる。
一矢
「え……永二……お前なんか薄くね?」
永二
「薄い!?」
一矢
「存在が」
永二
「やめて!」
[キャラクタCG:祈]
春風
「なに? えなみっちがどうかした?」
一矢
「こいつ髪薄くね?」
[キャラクタCG:永二]
永二
「え!? なにいってんのお前?」
永二
「おーい矢代〜! 俺、薄くないよね?」
[キャラクタCG:操]
机の中の教科書を鞄に詰めてた矢代がこっちをむく。
矢代
「……? 眩しいわ……」
[キャラクタCG:永二]
永二
「え!? はは……うそだろ。そんなに薄い……」
きっとあいつは永二が意味不明なことをいきなり言われたから分からないと言ったんだろうな……。
永二
「ってなんだよこの髪質!?」
永二が頭を抱えながらその場に座り込む。

[キャラクタCG:翔]

「よぉ……ってなにをしてるんだおぬし達は」
いつのまにか教室の外に翔がいた。
下を見ると俺の腰に手を回して顔を埋めてる春風と 頭を抱えてうんぬん言っている永二がいる。

一矢
「ああ、永二が髪の毛薄いから、本数を数えてるんだ」

「そうか……永二殿は若いのに大変だな……」
[キャラクタCG:祈]
春風
「いっち〜せんぱぁい……あつめてくださいよぉ〜……」
[キャラクタCG:翔]

「それでこっちは髪の毛を集めてあげているのだな」
一矢
「ああ、そうだ。汗で目立つし」

「もう夏に入るしな」
一矢
「まったくだな、はっはっはwww」
翔はなんでもかんでも信じてしまうから後が続かないんだよなぁ……。
八つ当り対象の永二はなんか真っ白になってるし。
[キャラクタCG:ジョセ]
ジョセ
「へ〜ぃ、なんか楽しそうなことしてますネー!」
さらに話がこんがりそうなやつが来た。
一矢
「ああ……ジョセ、ちょっと七心と古谷呼んできてくれないか?」
ジョセ
「あ〜……わたしはオジャマ虫ですカ〜?」
[BGM:寂しげな]
ジョセがしょぼんとした表情をして下を向く。
一矢
「いや、これはお前だけにしか頼めない、お前しか成し遂げられない事なんだ。これが達成できないと、世界が大きく変わってしまう、それほど重要なんだ」
[BGM:ほのぼのした日常]
ジョセ
「おぉ! イチダーイジですね!! イッツ、ビックディール!!」
なぜ英語にしたんだろう……。
ジョセ
「では〜すぐ呼びに行ってきますネ!」
というと、ジョセは俺の腋を通り抜け、C組の教室へ走り出す。
[キャラクタCG:操]
矢代
「で、なにやってるんだお前らは?」
一矢
「あとで教えるよ……めんどうだし」

[背景:暗転]

[キャラクタCG:七心]
七心
「ジョセちゃんに呼ばれてきたけど……」
[キャラクタCG:つくし]
古谷
「才木君、私はこのあとニコニコで囲碁中継を見る予定なんだが」
[キャラクタCG:操]
矢代
「というか俺が今ここにいる理由が別にない気がするんだが」
永二
「ハゲてない気がするんだが」
[キャラクタCG:祈]
春風
「じつはみんなを呼び寄せたのは……ボクなんだ!!」
[キャラクタCG:ジョセ]
ジョセ
「な、なんだってー!」
1人だけが春風のテンションに乗っていた。
漫画だったらきっとこのとき、ジョセの後ろでは雷が鳴っていたんだろう。
[キャラクタCG:祈]
春風
「あれ、みんなリアクション薄いね……」
一矢
「いや、そういうのはいいからとっとと先に進んでくれね?」
そうですか……とつぶやき、春風は首を振って気持ちを入れ替える。
春風
「みんなで一枚写真を撮りませんか!?」
机の上に置いてある鞄を持って後ろの教室のドアから出ようとする。
春風
「いやいやいや! 帰らないでくださいよいっちー先輩!!」
一矢
「カメラとかとられたら魂抜かれちまうだろ」
春風
「いつの迷信ですかそれ」
くそ、理由づけて帰ろうとしたのに。
[キャラクタCG:七心]
七心
「ええっと、祈ちゃん、なんでみんなで写真を撮ろうと思ったのかな?」
[キャラクタCG:祈]
春風
「ナイスパス! なっちー!」
春風が俺の腰から手を離し七心にグッと親指を立てる。
春風
「今日から夏休みでしょ? するとみんなと会う日が少なくなっちゃうじゃないですか」
[キャラクタCG:ジョセ]
ジョセ
「みぃはバイトで忙しいので会えませんネー……」
[キャラクタCG:操]
矢代
「俺もそうだな……あまり会える日はなさそうだ」
[キャラクタCG:祈]
春風
「そうでしょそうでしょ!?」
春風
「それに先輩達はもうすぐ卒業じゃないですか」
春風
「もう会えなくなっちゃうなんてボクはすっごい寂しいんだよ?」
春風
「なので思い出の記念として、みんなで写真を撮ろうと思ったのですよ!」
めんどくさい……。
俺は教室から出ようとする。
[キャラクタCG:つくし]
古谷
「まあ待て矢代君」
古谷が俺のシャツの首根っこを掴む。
古谷
「いい話じゃないか、私たちのために思い出を形にしようと考えてくれたのだぞ」
古谷
「それに、春風君の言うことも一理ある」
古谷
「人生というのは一度きりなんだ 楽しかった人生をものにすることは良いことだぞ?」
話が壮大になっている。
[キャラクタCG:七心]
七心
「一矢君 写真くらい良いんじゃないかな」
[キャラクタCG:ジョセ]
ジョセ
「一矢〜、みぃと写真撮るのはノーですカー?」
ジョセがおれの手にしがみつく。
一矢
「いや、嫌ってわけじゃないけどさ……」
[キャラクタCG:操]
矢代
「まぁ、一枚くらいならいいだろ。まだ昼前だし」
気がついたら全員がじーっと俺を見ていた。
ちなみに永二は教室の後ろのドアの近くで頭を抱えてうんぬん言って座り込んでいる。
一矢
「しかたないな、一枚だけな」
[キャラクタCG:祈]
春風
「ぃやったー! さぁさ、先輩! こっちこっち!」
春風がジョセが掴んでる手とは反対の手を掴んでみんなのいるところへ引っ張っていく。
[キャラクタCG:ジョセ]
ジョセ
「うわっ! 祈! あぶなっ……」
[SE:転ぶ音]
あんのじょう俺の腕をつかんでたジョセはいきなり俺が引っ張られたことで転んでしまう。
[キャラクタCG:祈]
春風
「うわわ! ごめんジョセっち!!」
転んだジョセに春風があやまる。
一矢
「ほら」
手をさしのべる。
[キャラクタCG:ジョセ]
ジョセ
「えへへ……ありがとですヨ、一矢……」
ジョセを立ち上がらせ、七心達のいるところへ向かう。
[キャラクタCG:翔]

「一矢殿、一矢殿」
一矢
「ん? どうした?」
翔が俺の肩を叩く。

「一矢殿、あの永二殿はどうしたらいいんだ?」
永二を指差す。
永二はまだうんぬん言って座り込んでいた。
あぁ、もう……しかたがないな……。
[BGM:寂しげな]
一矢
「永二、すまん、さっきの嘘だ」
[キャラクタCG:永二]
永二
「え……ほ、本当か……?」
一矢
「あぁ、本当だ」
永二
「そうか…………俺は……俺は……普通の人間なんだな」
一矢
「あぁ、ふつ〜の人間だ」
永二
「そうか……そうか…………」
永二は大粒の涙を流した。
そっと俺はハンカチをわたす。
永二
「あ、あぁすまねぇ……」
永二はハンカチを受け取り涙を拭く。
一矢
「あ、弁償して返せよ?」
永二
「ひどいっすねあんた!!!」

[背景:暗転]

[BGM:ほのぼのした日常]
[キャラクタCG:祈]
春風
「じゃあみんないいですかー?」
春風は自動撮影機能がついたカメラを教卓の上にセットする。
春風
「ようし、セット完了!」
春風が自動撮影のスイッチを押してこっちへはしってくる。
[背景:ブラックアウト]
春風
「いきますよー! いちたすいちはー?」
[SE:シャッター音]